引越しを機会にエアコンを買い換える?それとも移設して使い続ける?
エアコンは引越しの際に新居に持っていくのか、買い換えるのかを最も悩む家電だといえるでしょう。エアコンは冷蔵庫や洗濯機と違って、高い移設の費用がかかりますので、悩む方が多いのも頷けます。
さらに、高い移設費用に加え、エアコン工事のトラブルよって、機械の修理費や建物の修繕費などが発生すれば、想像以上の費用となる危険性もあります。
トラブルが発生し、買い替えたほうがよかった・・・と後悔することになるでしょう。
なんといっても家電の中で最も引越しのトラブルの要因になるのもエアコンの移設工事によるものですので、この点も考慮したうえで慎重に検討する必要があります。
そこで、現在お使いのエアコンを新居に移設して使い続けるかどうかの判断基準について考えてみました。
エアコンの移設・買い替えを判断するポイントとは?
引越しの際、エアコンを新居に持っていくか?買い換えるか?判断に迷ったら、エアコンの使用期間や電気代、移設費用等を合わせて買い替えを検討するといいでしょう。
既存のエアコンは引越し先の新居でどれくらいの期間使えるのか?
まずは後どれくらい現在のエアコンが使えるのか?が気になるところですね。
エアコンの寿命は掃除や使用の頻度、設置場所の環境等にもよりますが、大体10年程度といわれています。内閣府発表の消費動向調査でも、エアコンを買い替える年数は10〜11年、買い替え理由は50〜60%は故障によるという結果が出ています。
メーカーの補修用性能部品の保有期間も大体9〜10年となっていますので、やはり10年近く使ったエアコンは引越しを機会に買い替えたほうがいいでしょう。
定期的なフィルターの掃除等、日頃からメンテナンスを行っていれば寿命も延び、15年以上使用できるケースもあるようですが、長年使い続けるうちに、冷暖房効果が弱まってきたり、消費電力が上がり電気料金が上がったりすることは避けられないようです。
新品エアコンを購入することで、電気代がどれくらい節約できるか?
引越しを機会に省エネ機能搭載のエアコンを購入する場合、どれくらい電気料金が節約できるのかも、買い替えの検討材料になります。
省エネ性能の優れた製品に買い替えた場合の年間電気料金を比較すると、
<エアコン 2.8kw(8〜12 畳)新旧機種の年間電気料金比較>
2007年:29050円 〜 2014年:24300円 → 省エネ機種による節約金額:約4750円
というデータもあります。ちなみに電気料金は約16%削減されています。
(参照:経済産業省 資源エネルギー庁「省エネ製品カタログ 2015年夏版 」)
しかし、エアコンのフィルターを1年間クリーニングしないと25%も能力が落ちるともいわれますので、省エネ機能の向上に加え、メンテナンス不足と経年劣化による消費電力の増大により、年間電気料金が1万円以上差がつくことも予想できるのではないでしょうか。
さらに、上記データは7年前の機種との比較になりますが、最新型と15年以上前の機種との比較になると2万円程度差がつくこともあるといわれています。
年間5千円から1万円の節約できるのであるならば、格安な家庭用エアコンなら数年で元が取れる計算になりますね。
ちなみに、現在お使いのエアコンと最新省エネ機種の電気代の差を試算できる便利なサイトがありますので、参考にして下さい。
保証期間はいつまで?
また、メーカーや販売店によっても保証期間は異なりますが、通常は5〜7年(メーカーの保証期間は本体1年間、冷媒回路5年間)。引越しを機会に新品エアコンの購入を検討するなら、この保証期間を過ぎているかどうかも買い替えのひとつの目安になります。
機械の不調も買い替えの目安に
使用期間や保証期間だけでなく、性能的な問題も買い替えを検討する目安となります。
買い替えのタイミングとなる性能上の問題とは、
- 最近冷えが悪くなった
- 以前より電気代が高い
- 運転音がうるさくなった
などです。検討材料として参考にして下さい。
(参照:日本冷凍空調工業会 家庭用エアコン)
エアコンの移設費用も合わせて検討する
そして、引越しの際、多くの方が買い替えを決める最大の要因は中古エアコンの取り外し取り付けにかかる工事費ではないでしょうか。
エアコンの移設費用は取り外し・取り付け・運搬費用等を合わせると1台当たり15000円〜30000円程度とかなり高額です。
数年使用した中古エアコンの電気料金や保証期間、設置費用等を考慮すると、引越しのタイミングで省エネ性能の優れた新品に買い替える方が多いのも頷けます。
以上、まとめると、
既存のエアコンを引越し先の新居でも使い続けるか、買い換えるかは、
- 保証期間(5年〜7年)を過ぎていないか?
- 冷えない、電気代の高騰、騒音、異臭等の問題はないか?
- 新品を購入すると電気代はいくら節約できるのか?
- 修理する費用はいくらなのか?
- 新しいエアコンの購入費用はいくらなのか?
- 中古エアコンの取り外し・取り付けの費用はいくらかかるのか?
- エアコンを格安に購入できる時期
などをそれぞれ確認し、予算と合わせて総合的に判断するといいでしょう。
エアコンの取り外し取り付け工事を自分で行うデメリットや危険性
業者に依頼すると高額になりがちなエアコンの移設費用を節約するために、自分で取り外し取り付け工事を行いたいと考える人も少なくないでしょう。
エアコン脱着の工事費は荷物の少ない単身者の引越し料金と同じくらいの費用になることもありますので、機械の取り扱いが得意な方なら、少しでもコストを抑えるために自分で移設したいと考えても不思議ではありません。
また、特にエアコンの取り外し工事はそれほど難しくないともいわれており、またネットで検索すれば分かり易く、取り外しの手順を解説したサイトも数多く見つかるため、自分でチャレンジしたくなるのも頷けます。
実際、東京都が行ったアンケート調査によると「取り外した経験あり」の回答が約5%、「自分で取り外してみたい」という回答が30%に達していたそうです。
それでは、自分でエアコンの取り外しを行う場合、どのような問題があるのでしょうか。
可能性のある失敗例やデメリット、危険性などをピックアップしてみました。
冷媒ガス(ポンプダウン)回収の失敗
バルブの閉め方や作業手順、冷房運転、強制冷房(メーカーにより方法が異なる)のミス等によって冷媒を室外機内に集めるポンプダウンに失敗するケースが多いようです。
冷媒ガスが抜け、再設置の際に補充、入れ替えが必要になれば、余計なガスチャージに取り付け工事分程度の高い費用がかかってしまいます。
また、ガス回収に失敗すれば、ガスが漏れて放出する危険性もあります。
冷媒として普及している代替フロンは二酸化炭素の2000倍の温暖化効果があるといわれている環境破壊物質ですので、ガス放出は地球温暖化防止のためにも避けなければいけません。
室内機が上手く外せない
エアコンを自分で取外そうとチャレンジしたものの、途中で挫折し業者に依頼する人もいるようです。
室内機が外しにくかったり、ビスで固定されているものを力任せに無理やり外そうとして、室内機本体や補助管を破損させてしまうこともあります。また、配管や電線を切断していまい再利用できなくなるケースも少なくないようです。
冷媒配管や電線等の部材の交換や機械の修理は、取り外し工事の費用より高額になる可能性も高いので、トラブルの際はかなり後悔することになるでは。
取り外し後に配管接続部の養生を忘れると・・・
取り外したら室内機や室外機の配管の接続部分をテープで養生し、塞いでおかないと、配管内にゴミが入ってコンプレッサー故障の原因になることもありますので配管は再利用できなくなります。
配管の交換で済めばいいのですが、万一故障した場合、多額の修理費用や買い替えが必要になることもあるのです。
室外機が破裂する危険性もある
ポンプダウン作業の際に操作を誤り、冷媒が漏れて圧縮機内に空気が混入すると、運転時にコンプレッサーが異常な温度上昇と高圧により、最悪の場合破裂してしまう危険性があります。
コンプレッサー破裂は室外機が粉々になるほど強烈な破壊力があり、万が一破裂した場合は、甚大な被害を及ぼす事が予想されます。
可能性はかなり低いのですが、東京都の調査によると、実際に年間1〜2件のコンプレッサー破裂が起こっているそうです。そして、事故の大半は業者の修理不良によるものである点も見逃せません。
経験の浅い業者という可能性もありますが、少なくても初めて取り外しを経験する素人よりは、知識も技術もあるはずです。初めて作業を体験する素人が工事を行えば事故の確率が高まることは明らかです。
このように、工具があり、基本的な電気の知識や日曜大工の経験がありば、それ程難しくないといわれるエアコンの取り外しでも、上記の様なデメリットや危険性があるのです。
当然、真空引きやフレア加工、穴あけといった、より高度な専門知識や技術、工具等が必要になる取り付け工事は格段にリスクが高まります。(さすがに取り付けまで自分でやろうとする方は少ないと思いますが)
中古エアコンの移設費用を節約しようとして自分で工事を行い、逆に引越し料金や専門業者の工事費以上の高額な料金を支払うことになった・・・という可能性は少なくないのです。
取り付けはもちろん、取り外しを含め、エアコンの脱着工事は熟練の専門業者に依頼することをおすすめします。